長いことうっちゃっていた Apple Pencil を年末に久しぶりにさわったところ、いつのまにかスクリブル(手書き文字を認識してテキストデータに変換してくれる機能)が日本語に対応していた。はじめに Apple Pencil をさわったときに「手書きで入力できるのはいいんだけど、いくら自分の字とはいえ文字は活字の方があとで見た時の再利用性が圧倒的に高いな(=自分の字が汚すぎてあとで読めん)」という印象を持って投げてしまったので、手書きで入力するとそれを綺麗な活字に直してくれるスクリブルというのはまさしくこの課題を解決してくれる機能だった。僕はもう10年以上日常的に字を手書きしていないので(宅配便のサインをぐちゃぐちゃっと書くだけだ)だいぶ字が下手になっているのだが、その割に入力精度も悪くない。技術進歩。ということでこの Apple Pencil を運用してみようというところから積んでしまっていた iPad Air を再活用 → iPad mini 買い足しと日常使いのデバイスを増やすことになった。
元来ものぐさでケチなこともあり、これまではほぼ iPhone 一本でほとんどのシーンを乗り切ってきた。しかし今回は気分転換も兼ねてためしに利用シーンごとに快適に使えそうな端末の使い分けを考えてみることにした。
一気にデバイスが増えたので使うデバイスのリストと利用シーンを整理する。まずデバイスのリスト。
- (スマートフォン)iPhone 13 Pro(モバイル汎用)
- (スマートウォッチ)Apple Watch(音声・アクティビティ入力・通知確認)
- (タブレット1)iPad mini 6(室内における iPhone の代替)
- (タブレット2)iPad Air 4 (手持ちを想定しない重量級端末)
- (デスクトップPC)Windows 10 (据え置き汎用)
以下は日常の利用からははずす予定。
- (ノートPC)MacBook Air 2017 (ほぼワープロ専用機、 iPad Air で代替予定)
- (電子書籍ビューワー)Kindle Paperwhite (活字専用、 iPad mini で代替予定)
こんなところか。これらを閲覧作業・入力作業の配分とリラックス・集中の度合いの配分で使い分けるわけだが、デバイス全体に一貫した特徴として「この作業はこの端末では絶対できない」ということは多くなく、基本的にはやろうと思えばどの端末でも完結して作業が可能なデバイス群になった。 Apple 製品の思想がそのまま反映されたのかな。なので、シーンごとに適切で快適な端末を使い分けはするのだが、途中で別の作業がしたくなっても大きくセッティングを変えることなく行き来が可能になった(たとえば読書中に少しテキストをメモしてまた読書に戻る、など)すべての環境は iCloud で連携しているのでシームレスにデータは連携されている。完全に Apple のエコサイクルに組み込まれたが、快適なので仕方ない。
この切り替えやすさには功罪があって、たとえば Kindle Paperwhite は「電子書籍専用である」というところが実は利点で「他の作業に気を散らさず読書に集中する」という使い方は有効だし、 MacBook は出先でネットに繋がずスタンドアロンのワープロマシンとして使っていたのだが、 この前 Apple 端末が集中モードを使って通知を制御できるようになったことでこの問題がある程度解決したのと、現実的には何時間も読書だけやることはない(是非はあるが、音楽をかけたりブラウジングしたりという作業がどうしても挟まるため、一台でいろいろな作業が完結するメリットの方が大きい)ので、今回の編成では特定の機能専用の端末は常用端末から外れる形になった。
なので、状況によっては複数のデバイスを瞬間的に併用することもあるが、それは機能で端末を使い分けるわけではなく、並行度をあげるためのスケールアウトである、という運用になる。
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で、これを利用シーンごとにどう使うか。
1.自宅(デスク)
- (主端末)デスクトップPC
- (副端末)iPad mini( or iPad Air )
一番かっちりとした環境。姿勢が固定されるのでリラックス度は低いかわりにユーザインターフェースを最適化している。デュアルディスプレイで、キーボードは Realforce 、マウスは MX Anywhere 3 を使う。 iPad mini は BoYata のスタンドでモニタの脇に置き、音声出力を HomePod mini に繋げて Youtube Music や動画を流すジュークボックスとして使う。これまでは iPhone で音楽をかけたりもしていたのだが、デバイスを分離することでちょっとしたストレス(たとえばショート動画をちらっと見たいがそれをかけると BGM がブツッと途切れる)ことがなくなった。デスクからちょっと移動するときは iPad mini をはずして持ち歩く。
2.自宅(ソファ上、入力作業)
- (主端末)iPad Air
ソファでくつろぎながらなにか入力作業をしたいシーン。リラックス5:集中5の、マクロスでいうガウォークの状態がこれ。入力しているデータを最終化するのではなく、曖昧に考えていることを有機的に吐き出したり整理したりする。ソファの上なので安定性確保のためにトレイボーに乗せる。テキスト入力がメインの場合は外付けキーボード( MX Keys mini )とあわせて使うし、手書きメインのときは Apple Pencil を使う。
主なツールはテキストエディタ( Notion , 純正メモ)とマインドマップ( Xmind , GoodNotes )で、簡単なブラウジングなどは Slide Over でまかなえる。本格的にマルチタスクが必要になった場合は iPad mini や iPhone に作業を分散拡張する。
iPad にキーボードをつけて入力作業するのは初代で少し試したことがあるのだがあまり馴染まずそれ以降トライしてこなかった。のだが、 iPad の性能向上と、今回外付けキーボードに MX Keys mini を使ってみたところ非常に良かった(薄くて携帯しやすいしそれなりに入力しやすい)ので、今回この利用シーンを正式に採用することができた。これで集中とリラックスの中間に位置する作業環境を作ることにする。
3.自宅(ソファ上、コンテンツ閲覧)
- (主端末)iPad mini
ソファでリラックスしながらコンテンツを消化している閲覧主体の状態。基本的に閲覧だが、合間に発生する簡単なメモなどの入力作業は Slide Over やクイックメモでまかなえる。10インチサイズのタブレットは手持ちし続けるのがつらいのでどうしてもスタンドが必要になるが、 iPad mini は手持ちでも問題ない。横にもなれる。とはいえ「完全に閲覧しかできない」という受け身 100% ではなく、その気になれば Apple Pencil を使って入力ができる、というところで心理的にストレスがない。当然ながら iPhone よりも画面が広くマルチタスク可能なので閲覧作業のクオリティが高い。
主なツールは Kindleと 、Youtube などの各種動画・音楽ストリーミングサービス。これも並行度を上げたくなれば他の端末にも同じ作業を拡張できる。どの端末でも基本全ての作業ができるので、簡単に横に別画面を増やせるし持ち替えても問題がない。
4.移動中
- (主端末)iPhone + AirPods Pro + Apple Watch
- (副端末)iPad mini
通勤や散歩中など室外での立位全般。 iPhone, AirPods Pro, Apple Watch は明示的にはここにだけ書いたが、これは常時携帯しているものなので、実質最小装備ということになる。 AirPods Pro は第2世代になってノイズキャンセリング性能・音質・音量調整機能などが向上したため外出中は手放せなくなった。
効率は落ちるものの、 iPhone でも作業全般が汎用的に行えるのでこの状態でもできない作業はない。体勢が安定していれば外でも iPad mini を使う( iPhone のインターネット共有でオンライン)
5.カフェなど自宅以外の作業環境
- (主端末)iPad Air+外付けキーボード
気分転換に外で入力作業をしたいときは iPad Air を持ち出す。ただ外付けキーボードも必要なので、通常の外出よりも持ち物が少し増える。これまでは MacBook Air を持ち出していたが、重量・汎用性・コストを考慮して iPad に代替していく方針とした。今回 iPad mini を買い増ししたことで、このエリアは完全に重量級として整理したため、次回は大型の iPad Pro にしてもいいかもしれない。
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2023年の走り出しのデバイスはそんな感じで。 Apple Pencil のスクリブルがいい感じだったという話からずいぶん高くついたもんだ…