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モニターライトを買った

BenQ ScreenBar Plus

モニターライトなんていらないだろうと思っていたがふと思い立って買ったら存外によかった。もっと早く買えばよかった…

買う前の印象

モニターの上辺に設置する洒落たライトがあるらしいということは知っていたが、もうひとつ必要性を感じていなかった。デスクの前ではずっとモニターを見ているし、モニターは発光しているからだ。モニター画面が光量の問題で見づらいと思ったことはなく、位置的に太陽光などの映り込みも気になったことはない。

商品のイメージ映像を見てもモニターの前で書き物をしたり本を読んだりするシーンを想定しているように思えた。自宅のモニター前でそういうことはほとんどしないので、在宅勤務の環境改善の中で一度検討したものの、冗長だろうと考えてドロップしていた。

また、商品の情報を得るためにネットで情報を探したりもしたが、紹介動画にやたら商材として取り上げられている感じが鼻についてあまり積極的に検討しなかった。単なるデスクライトとはきっと違う効用のある製品なのだろうと想像はできるが、体験したことのない製品は必要性も理解しにくい。

買った理由

そんな風に敬遠していたのだが、最近オフィスで卓上にデスクライトがある環境で作業する機会があり、はじめはつけてもつけなくてもどっちでもいいやと思っていたもののの、せっかくの備品なので貧乏性からつけてみたところ思った以上の快適さを感じた。それでライトの効用というものを考え直すことになった。

なにを快適に感じたのだろうか?

まず思い違いをしていた点として、モニター自体の見やすさとはこのライトはあまり関係がない。前述した通りモニターは発光しており、ライトがあろうとなかろうとモニターの見やすさは大して変わらない(よほど強い光源がモニターに映り込んでいる場合などは効果があるのかもしれないが)

それではなにが変わるかというと、モニターの画面とその周辺を視野が往復する際に、明るさの差がなくなるのが大きいのではないかと思い至った。別にモニターの周辺を注視するわけでもないのだが、ふとキーボードに目をやったり、卓上の iPhone に手を伸ばしたりすることがある。今までは気づかなかったが、意識してみると僕の目はそういう明るさの違う空間に焦点を当て直す際に疲れを感じているように思えた。ライトがあるとその差がなくなり、細かいストレスが軽減されるように思える。

それで(自宅の仕事環境の最適化を習慣としている自分としては)試してみてもいいだろうと考えた。

商品選定

いくつか選択肢はあるようだが BenQ の製品がもっともメジャーなようだった。大きな不満意見も見当たらなかったし、これでよいだろう。グレードごとに3つの製品があるのでこの中から選ぶことにした。

  1. ScreenBar 無印(リモコンがない、ライトと操作ボタンが一体)
  2. ScreenBar Plus(有線リモコンあり)
  3. ScreenBar Halo(無線リモコンあり)

大雑把に整理するとこうなる。
卓上面積を使いたくなかったし、値段も上がるのでリモコンは省こうかと思ったのだが、無印を選ぶと光量の操作がボタン式でデジタルな段階的な調整であることが気になった。Plus, Halo のリモコンはアナログなダイアル式なので無段階に光量調整ができそうだ。頻繁に変更するものではないが、基本的な機能なので明るさ調整はできた方がよいだろう。

とはいえそれほど頻繁に調整するものでもないし、机の奥に追いやっておけばいいので、バッテリー管理の手間と金額増を考慮して ScreenBar Plus にした。ただ、 Halo は湾曲モニターに対応しているらしく、それは今後のことを考えるとすこし気になった。今正面には平面モニターが置いてあるのだが、いずれ湾曲モニターを使うときがくるかもしれない。

まあそのときはそのときに考えよう、ということで ScreenBar Plus を発注した。

買ってみて

セットアップは非常に簡単だった。モニターの上に乗せるだけで、重みもあって安定する。一週間ほど使ってみて、予想通り眼精疲労がやや低下したように感じた。

また、使う前に想定していなかったのだが、卓上が明るくなったことでデスクに向かって作業をするという行為の敷居が下がったように感じた。しっかりと腰を据えてそこにいつづけられるというか、子供の頃にデスクライトのついた学習机に向かい合っていたときのような座りのよさを感じる。学生時代の学習環境によるパブロフの犬かもしれないが、思った以上に集中力に影響があった。

優しい光にできるし、無段階に光量調整できるのもよかった。ただ、やはり頻繁に光量を変更するものでもないので、無印でもよいかもしれない。有線リモコンのケーブルは可もなく不可もなくと言ったところだが、当然ながら取り回しが必要になるのでないならない方がよりよいであろう。まあでも電源オンオフのたびにモニターの上を触るのは手間にも思えるし、無線リモコンのバッテリー交換の手間も面倒なのでここはトレードオフになる。

そういえば以前デスクライトを試してみたときは光が片側からしかあたらない(左か右から照らすタイプの製品だった)のがネックだった。その位置だとどうしても逆側の手元に影ができてしまい、そうするとそこに明度の差が生まれるので目に負担がかかる。なんなら明度差が強調されるような感じもあって使わなくなった記憶がある。しかしこの真上から照らしてくれる角度であれば影ができない。もちろんモニター自体の見え方には影響しない(光が真下に落ちるからか)なるほどここが替えのきかない要因であろう。

たかがデスクライトだろうと思って購入を見送っていたが、やはり思い込みにとらわれず試してみると幸せになれることはある。買ってよかった。

HHKB Pro を買った

PFU キーボード HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/白

 

職業柄、毎日触るキーボードは投資対効果が高いと考え、もう10年以上前に Realforce を買ってずっと使っている。自宅用と会社用に2台同じものを買って同じ環境でタイピングができるようにした。安い買い物じゃない。でもその甲斐あってタイピングするだけで楽しく感じられる環境ができた。4,000日以上叩き続けて特にトラブルもない。いい買い物だった。

安物買いの銭失いという言葉があるが、買い物は妥協してしまうと「もしかしたら他にもいい製品があるかもしれない。僕は人生の時間を非効率に使い続けているのかもしれない」という疑問を抱き続けることになり、折にふれて買い換えの比較検討をやり始め、無駄な時間とエネルギーをもっていかれることになる。その観点から見ても Realforce は十二分に仕事をしてくれた。これまでの間、キーボードを買い換えた方がいいかもしれないという考えは一度も僕の脳裏をよぎらなかった。

 *

しかしコロナ禍によってワークスタイルが変わり、勤め先がフリーアドレスになったことによって、キーボードを自席に据え置きにするという選択肢がなくなってしまった。まあまだ在宅で仕事をする時間に比べてオフィスに滞在する時間の方が短いし、そのオフィスにいる時間も大半は会議に出席しているのでそこまでタイピング作業の比重は大きくないだろうと考え、手軽さを優先して Macbook Pro のキーボードをそのまま使っていた。

それはそれで大きな問題はなかったのだが、タイピング自体の快感が薄いことは長期的に見てマイナス要因であろうという考えがずっと頭の片隅にあった。僕の経験からくる自論に、優秀な人間は頻度の高い単純作業こそ徹底的に効率化を突き詰めるというものがある。タイピングやブラウジングはその代表的なオペレーションで、これが最適化されていないという事実はどのような視点をもってしても正当化することが難しかった。

 *

また、これはあまり声を大にして宣言するものでもないのだが、高級なキーボードをわざわざ買ってきて使っている姿というのは時として仕事の成果に勝るとも劣らないぐらい自身の社会的な印象を左右するのではないか、という考えもあった。たとえばあるシステムの設計を提案する際に(それがまったく同じ意見なのであれば)支給されたキーボードになにも疑問をもたずに仕事をしている人間と、「自分が使うキーボードとはこういうものなのだ」という確固たる視点をもった人間がいるとしたら、後者の意見の方が納得しやすいのではないか。

自己ブランディング。

くだらないといえばくだらないし、本物のエンジニアには通用しないだろう。でも仕事で出会うのは必ずしも本物のエンジニアばかりというわけではないし、こういうわかりやすい飛び道具も一定の効果が見込めるのではないか。本物と戦う時は内容で勝負すればいい。そこに注力するためにも覇気で片付く問題は覇気で片付けてしまおう。

ただ、さすがに有線で大型の Realforce を毎日会社のロッカーから引っ張り出すのは手間がかかりすぎる。それで久しぶりにキーボードの選定という一大プロジェクトに乗り出すことにした。

 *

選定の要件としては以下になる。

  1. タイピングが今使っている Realforce 並に気持ちよいこと
  2. ワイヤレスであること
  3. 持ち運びしやすいこと
  4. ベーシックな形であること
  5. 継続的に販売されており買い換えの際に入手しやすいこと
  6. 日本語配列があること(スペースキー左右で IME の ON / OFF が可能)
  7. 無刻印キーがある、もしくは印字がやかましくない

Realforce からもワイヤレスの商品が出ているのだが、サイズがそこそこ大きいためフリーアドレスの席移動にはやや手軽さにかけるように感じた。また、初代の Realforce ユーザである自分としては、この十数年の間にモデルチェンジしてしまっていて同じ型のものが手に入らないことに不満があった。この型でワイヤレスの物があればいいのだが…

となると必然的に HHKB Pro が選択肢に入ってくる。ワイヤレスで、Realforce よりもコンパクトで、継続的に同じ型のものが販売され続けている。ここまでは問題ない。ただ、懸念事項としてキーの並びが Realforce よりもやや独特なこと、キータッチが一律同じ荷重(45g)であることが気になった。

キーの並びについては昔 HHKB Lite 2 を使っていた時に左下の修飾キー周りがやや特殊だったと記憶しており、これに慣れると他のキーボードを使いにくくなるデメリットを感じていた。 Control キーが a の横にあるのは大変素晴らしいのだが、 CapsLock を入れ替えてしまう術はあるので実用性としてはあまり大きな効用はない。くわえて PageUp, PageDown, Home, End が独立キーとして存在しないのはキーボードから手を放している時に片手ですこし操作するのに不便なように思えた。ただこれはコンパクトさとトレードになるので仕方ない。

また、Realforce のキー荷重は指の位置によって異なるモデルが提供されているのが素晴らしく、人差し指側の中央のキーは押し込むのに力がかかる(45g)が、それに比べて小指側の外側のキーは軽い力で押し込めるようになっている(30g)これはとても理にかなっており、手指の健康にも一役買っているように思えた。 Emacs バインドでカーソル操作をする自分にとっては Control キーの荷重は小指への負担に直結する。ただ HHKB にも独特の打鍵感があり、タイピングの快適さで一概にどちらが良い悪いというものでもない(欲を言えば Control キーを小指で押し込む力をもう少し軽くしてもらえると負担が減るのだが)

ということで、懸念事項については目をつぶれそうであること、 Realforce に比べると手ごろなサイズでワイヤレスであること、あたりを理由に購入に踏み切った。 Realforce もまあ十年以上使ったし、たまには変えてみるのも気分転換になるだろう。

 *

買うことにはしたのだが、次なる検討事項として色と刻印の問題があった。

まず決めていることとして、配列は日本語配列にすること、今回はせっかくなので無刻印キーにすること(これほど見る者にわかりやすく訴求するデザインがあろうか)が挙げられた。ただキートップについてはあとで無刻印に換装もできそうなので、判断を購入後に先送りにすることもできそうだ。ということで、不可逆な選択としては色ということになる。

僕は持ち物一般を基本的に黒で選ぶし、なによりも墨の HHKB の放つ圧倒的な玄人オーラは今回の要件にもマッチしていると考えて、こんなもん墨一択だろう…と考えていたのだが、デフォルトの白(グレーっぽい白の方だ)もとてもベーシックなキーボード然としており好ましく思えてきた。学校の計算機室にとりあえず備えつけで置いてありそうな、一昔前のそっけないデザイン。そういう視点で見ると印字もそのベーシックなたたずまいに一役買っている。あとで無刻印に変えれば二倍楽しめそうだ。

そう思って墨を見直すと、ただでさえ洒脱な HHKB にさらに墨をセレクトするというのはやや印象が強すぎるように感じた。あとユーザが多い。観測範囲の HHKB ユーザは墨が多数派のようだし、これでは自己ブランディングという目的から逸れる。

そもそも HHKB という存在自体が「高級」「一家言あり」「プロフェッショナル」というような主張をもっているため、色はすこし外してベーシックな素っ気ない色にするのは悪くない選択だろう。 HHKB 本体がもつオーラと無刻印キーがあれば主張としては僕には十分だ。さらに言うならあえてそっけなく白を選ぶことで他の墨ユーザメタとして機能するのではないか。つまりキーボードに興味ある人間とそこまで興味ない人間という2つの異なる層それぞれに覇気を放つことを可能たらしめるのではないか。

そのように考えて色は白にした。

 *

で、買ってみて、おおむね期待通りの効果が得られた。

コンパクトだし、ワイヤレスのキーボードというのはいいものだ。Realforce よりも手指の負担はあるような気がするが、単なる効率を超えてタイピングが楽しく感じられる。大げさに言えば楽器を演奏しているような楽しさが日常の作業に加味される。

満足ではあったが、買ってから気になったところは以下。

  1. 高い(本体¥36,850円、パームレスト¥5,280円、スマートケース2¥2,860円、キーボードルーフ¥4,400円、バッテリーのエネループプロ¥2,182円、充電器¥3,217円……合算はしない)
  2. 高い割に付属品の機能が弱く感じる(ルーフは載せるだけでカチッとはまるわけではない。スマートケースはけっこうギリギリで入れるのにそれなりに苦労する)
  3. 電源がトグルスイッチなのが精神衛生上よくない(30分で勝手に切れるし電源オンオフを示すランプもないので見た目で状態が判断できない。とりあえず30分で勝手に切れないように設定した)
  4. Windows と Mac に繋ぎかえるときに毎回モード変更が必要(どちらか一方であればモード固定してしまうのだが…)
  5. やはり Control キーの荷重が負担だ(Emacs は小指に負担がある。これは Realforce にアドあり)

と、気になるところも書いたが気分転換にはちょうどよい買い物だった。タイピングのモチベーションが上がるというのはよいことだ。 iPad と組み合わせて使えるのもいい。

ただ想定していた通り(そして世間的にも2つの製品が肩を並べているという事実が示す通り) Realforce の完全上位互換というわけにはいかなかったので、そのうち自宅の据え置きは Realforce に戻すときがくるかもしれない。僕は初代の Realforce の、キーボードのイデアとでも呼ぶべきベーシックなフォルムが好きだ。据え置きで使うならサイズが大きいこともメリットに働くし。

Aer の City Pack を買った

 フルリモートから出社と在宅のハイブリッド勤務に移行して外出の機会が増えた。それに伴い iPad mini などを買い増したりして荷物に変化が起こった。だいぶリュックがくたびれていたこともあり、この機会に新調することにしたのだが比較項目が多いし、いくら店頭で触ってみたとしても究極的には使ってみないとわからない買い物なので長考した。

 で、結論から言うと Aer の City Pack を買うことにしたのだが、検討に紆余曲折あったので備忘のため記しておく。

現状把握

ざっと分類すると公私ともに3段階ぐらいの重みで持ち運ぶ荷物の区別がある。

  1. プライベート
    • (軽量)散歩、コンビニ
    • (中量)買い物など日帰りの外出、カフェや図書館などサードプレイスで作業など
    • (重量)一泊以上の旅行
  2. ビジネス
    • (軽量)出社(軽作業)
    • (中量)出社(汎用装備)、ビジネス的な対面
    • (重量)出張

これに対して手持ちのバッグが以下。

  1. Aer / Day Sling 3
  2. Aer / Tech Sling 2
  3. カリマー / VT デイパック
  4. (引退予定)TUMI / レザーブリーフ

 年末に買った Aer / Day Sling 3 の使い勝手が異常によく、公私ともに軽量級の外出であればこれひとつですべてまかなえるし、iPad mini は入るので目的がはっきりしていて荷物選定ができるのであれば中量級の外出であってもこれで解決できる。このカバンは大層使い勝手がよく、しばらく愛用するだろう。個人的に長年患っていた「ボディバッグって体の前に掛けていいのか?」という問題を解決してくれた。これなら前に掛けても違和感がない。

問題

 ただ、この中量級の外出について以下のケースが増えてきた。

  1. 汎用性が求められ荷物が絞れない(突発的な事態に対応できる荷物を持っておきたい、ケーブル類を念の為に携行したいなど)
  2. 荷物が決定できたとしても Day Sling3 では容量不足(外付けキーボードとiPad Airをもっていきたい、など)
  3. フォーマル度の高いビジネスシーンで Day Sling ではちょっと頼りなく感じる

 容量的な問題であればカリマーのVTデイパックに持ち帰る、ビジネスシーンであれば TUMI に持ち替える、といった対応が可能ではあったのだが、それぞれ以下の問題が目立ってきた。

  • カリマーの VT デイパックは登山用バッグなので、カバンの中に仕切りがなく(タブレットや MacBook を収納するケースが別途必要になる)やや使いづらい。また、ビジネスシーンにややそぐわない(通常ほとんどそれが問題になることはないのだが、社外打ち合わせの際にややアホっぽくなる)
  • TUMI のブリーフケースはかなり気に入っており使い勝手がよかったのだが、10年ものでだいぶ型崩れ・レザーの劣化がひどく引退予定。なのでビジネスシーンに対応可能なカバンがない。

新しいカバンへの要求

これを解決するというのが今回の選定の第一義となる。つまり、

  • (要件1:容量)Day Sling 3 よりも容量があるリュック
  • (要件2:ビジネス対応)ある程度フォーマルなビジネスシーンに対応可

 となる。あまりカバンの数が増えると面倒なので、できれば公私ともに対応可能なデザインのもの1つで解決したい。

 昨年末、これをクリアするために Tech Sling 2 を買い足したのだが、やはりショルダーバッグというのがどうもバランスが悪く、入るには入るのだが Macbook Pro を入れると片側に荷重がかかりすぎるのと、フォーマルな場に持ち込みづらいフォルムだったため解決策とならなかった。なので、あらためてなるべくバランスのよいリュックがひとつほしい。

 くわえて、重量級の外出については機会が少ないので主軸で考慮はしないものの、突発的に必要になるケースにも対応できると嬉しいので、オプショナルな要件として考慮する。

 以上が主軸の選定要件であるが、以下の副次的な要求も考慮に入れたい。

  1. ガジェットのオーガナイザーを備えている(ノートパソコンスリーブ、小物入れなど)
  2. 大きすぎずスリムで日常使いで取り回しやすい
  3. 荷物の量を問わず型崩れしにくい
  4. 汎用性が高い標準的なリュックである(特殊な使い勝手・特殊な形状の製品ではなく、最大公約数的なリュック)

要求が多い!

第一検討:Flight Pack 3

 以上の要件を踏まえ、最初に候補に上がったのが Flight Pack 3 だった。公式でカートに入れて住所入力まで行ったので、当初はかなり決定する気まんまんだった。ただ最終的には思いとどまった。ポイントをまとめるとこうなる。

  • Good
    • バリスティックナイロンの素材感とデザインがよい。Day Sling とも調和している
    • リュックとしてだけでなく簡易的なブリーフケースに変形して使用できる
    • 旅行など荷物が膨らんでも十分対応できそうなサイズ(20リットル)
  • 気になる
    • 普段使いには大きすぎるのではないか
    • 変形機構が冗長に複雑ではないか(くわえて、変形させてもベルトが完全に隠れない)
    • 中身がすくないときに型崩れしないか
    • Flight Pack 2 のときよりブリーフケースハンドルの持ち手の留め具が簡易化されている(残念)

 宿泊まで想定できる大きさ、ブリーフケースへの変形機構など、今回の要求する汎用性に広く合致しているように思えた。デザインもシンプルで直線的でビジネスシーンでも対応できそうだし、 Flight Pack の名前から連想するようにこれひとつもって飛行機に乗り込めそうな心強さがある。リュックとしての形状だけでなく、横にブリーフケース時に使う持ち手がついているのも、その汎用性の高さを象徴しておりいろいろな顔が見えて飽きなさそうだ。

 これでいいや…と思ったのだが、あらためて利用シーンの頻度を考えてみると、わざわざ手間をかけてブリーフケース状態に変形させて使うシーンが果たしてどれぐらいあるだろうか…ということが気になった。ほとんどの場合リュックでまかなえる気がするし、そうするとリュック状態で使う通常時はこの変形機構に伴うほとんどのパーツ(ベルト着脱の金具、横の持ち手、ベルト収納ポケット)は単に余分な機構ということになってしまう。大きさもやや大きすぎる(特に厚み)ように思えたし、中身が少ないときはぎゅっと厚みを潰せるようにも思えたが、一番出番の多い中量級の外出時にはずっと型崩れした状態で使うことになる。

 経験上、道具に汎用性を求めすぎるとどの利用用途でも中途半端になりがちなので、ここで方針を考え直すことにした。つまり、頻度の少ない旅行・出張についてはオプショナルな要求からも一旦外し、中量級のカバンに振り切って考えることにした。重量級の外出について、今回購入するカバンで対応できなければそれはそのときに専用のものを書い足そう。たまにしかない旅行のために、日頃からオーバースペックなカバンを担いで回ることはない。

 それで Flight Pack をドロップし、次の検討に進んだ。

第二検討:Aer City Pack

 結論は City Pack となるわけだが、中量級(〜15リットル)のリュック候補としては以下があがった。

  1. Aer City Pack
  2. Aer Day Pack 2
  3. Aer Slim Pack
  4. Incase Dot Backpack

 Flight Pack を前述の通りドロップした際に、まず候補にあがってきたのが City Pack だった。ちょうど自分がはずした要件(ブリーフケースへの変形不要、旅行へ対応できる収納力)を Flight Pack からオミットした製品で、気に入っていたデザインや素材感はそのままなので問題ないはずだ。

 続いて Aer Day Pack 2 が候補に上がった。Day Pack 2 はなにより「自立する」という唯一性があり、リュック選定する上でこれは強力なアドバンテージに思えた。それと引き換えに、ややフォルムが丸くなっている。ここは好みだがなんとなくランドセル感を感じてしまいデザイン的には City Pack の方が好ましく感じた。防水のシェルも悪くないのだが、バリスティックナイロンは Day Sling 3 で実績と信頼がある。ただ、City Pack も(公称してはいないので保証はされないものの)一応自立するらしいという情報があり、店頭で確認したところたしかに自立していた。荷物の入れ方にもよるだろうが、すこし立てかける壁でもあれば十分だろう。Day Pack は人気だが、その分人とかぶることもおおそうだ。ということで、今回は City Pack を選んだ。

 14リットルサイズの検討としては以上なのだが、そもそも要件から汎用性を削ったわけで、それならばもっと軽くてスリムなものがよいのではと考え10リットル以下の製品も調べた。

 まず同じ Aer 製品の Slim Pack。これは機能的には悪くなさそうだったものの、亀仙人っぽいフォルムが気になるのと、いくらなんでもベルトに対してリュックが薄すぎてアンバランスではないかと思いドロップした。ただ、気になるサイズ感ではあるのでユニクロの3wayリュックあたりでためしてみたい。

 最後に別会社の製品で Incase の Dot Backpack が気になった。

 非常にスリムでシンプルな形であること、なおかつ Aer 製品よりも重さが大幅に軽くなること、Aer 製品と同じようなジッパーの持ち手がついていること、インナーの起毛が Aer 製品よりも気持ちよさそうなこと、などが目をひいた。柔らかそうな材質もあって気軽に持ち出しやすいように感じたが、代償として中身を詰めないと型崩れして潰れそうに思えた。悩んだが、Aer 製品に興味があることと、現状の中量級の外出には(宿泊に対応できるほどのボリュームではないにしても)ある程度の汎用性がもとめられることからドロップした。また、僕は肩幅があるのでここまでスリムになるとちょっとバランスが悪いのではないか、という判断もあった。City Pack がもし大きすぎる・重すぎると感じた場合にはさらに軽量級として買い足してもいいかもしれない。

 というわけで City Pack が勝ち残った。まとめると以下の評価での購入となった。

  • Good
    • バリスティックナイロンの素材感とデザインの良さ
    • オーガナイザーが便利そう
    • それなりに自立するらしい
    • 幅広いビジネスシーンにもっていけるビジュアル(社外との対面やイベントなど)
    • そこそこの汎用性あり(Day Sling 以上 〜 一泊旅行以下)
    • その割にサイズ感が大きすぎない(特に厚み)
    • ベルトは収納できないが、瞬間的に横持ち可能なすっきりしたハンドルあり
  • 気になる
    • 一泊旅行に対応できるか
    • やや大きすぎるのでは
    • 自立の度合い

 標準的なリュックで、かつ今回要求する範囲での汎用性がある。これでよいだろう。

2週間使ってみた感想

 おおむね想定通りで満足のいく結果となった。使ってみた感想は以下。

  • 物が入らないという評判を見かけたが、僕の使い方では十分に入る。むしろ中に物をあまり入れなくても型崩れしないメリットの方が大きい
  • サイズ感・デザイン・素材感などはすべて期待通りで満足
  • 重さの割に背負ってしまうと軽く感じる。間仕切りのおかげで荷物が中でぐらつかず固定されること、一番重いノートパソコンが一番体に近いところで固定されること、背中に沿った形状のパネルであること、あたりが原因だろうか
  • リュックの紐がダラダラしないように止めておくコードベルトがついていて、これが大層具合がよい。まったくダラダラしない
  • 自立はしない。一部の紹介動画で自立するようなニュアンスの説明もあったが、まったくしないと考えた方がよい。ただ、机の上に平置きしたときに、前述したコードベルトのおかげで紐がちらからず、四角いシルエットに収まってくれるので自分は結局気にならなかった。自立させたいなら素直に Day Pack 2 を買おう。

デバイスの整理(2023)

 長いことうっちゃっていた Apple Pencil を年末に久しぶりにさわったところ、いつのまにかスクリブル(手書き文字を認識してテキストデータに変換してくれる機能)が日本語に対応していた。はじめに Apple Pencil をさわったときに「手書きで入力できるのはいいんだけど、いくら自分の字とはいえ文字は活字の方があとで見た時の再利用性が圧倒的に高いな(=自分の字が汚すぎてあとで読めん)」という印象を持って投げてしまったので、手書きで入力するとそれを綺麗な活字に直してくれるスクリブルというのはまさしくこの課題を解決してくれる機能だった。僕はもう10年以上日常的に字を手書きしていないので(宅配便のサインをぐちゃぐちゃっと書くだけだ)だいぶ字が下手になっているのだが、その割に入力精度も悪くない。技術進歩。ということでこの Apple Pencil を運用してみようというところから積んでしまっていた iPad Air を再活用 → iPad mini 買い足しと日常使いのデバイスを増やすことになった。

 元来ものぐさでケチなこともあり、これまではほぼ iPhone 一本でほとんどのシーンを乗り切ってきた。しかし今回は気分転換も兼ねてためしに利用シーンごとに快適に使えそうな端末の使い分けを考えてみることにした。

 一気にデバイスが増えたので使うデバイスのリストと利用シーンを整理する。まずデバイスのリスト。

  • (スマートフォン)iPhone 13 Pro(モバイル汎用)
  • (スマートウォッチ)Apple Watch(音声・アクティビティ入力・通知確認)
  • (タブレット1)iPad mini 6(室内における iPhone の代替)
  • (タブレット2)iPad Air 4 (手持ちを想定しない重量級端末)
  • (デスクトップPC)Windows 10 (据え置き汎用)

以下は日常の利用からははずす予定。

  • (ノートPC)MacBook Air 2017 (ほぼワープロ専用機、 iPad Air で代替予定)
  • (電子書籍ビューワー)Kindle Paperwhite (活字専用、 iPad mini で代替予定)

 こんなところか。これらを閲覧作業・入力作業の配分とリラックス・集中の度合いの配分で使い分けるわけだが、デバイス全体に一貫した特徴として「この作業はこの端末では絶対できない」ということは多くなく、基本的にはやろうと思えばどの端末でも完結して作業が可能なデバイス群になった。 Apple 製品の思想がそのまま反映されたのかな。なので、シーンごとに適切で快適な端末を使い分けはするのだが、途中で別の作業がしたくなっても大きくセッティングを変えることなく行き来が可能になった(たとえば読書中に少しテキストをメモしてまた読書に戻る、など)すべての環境は iCloud で連携しているのでシームレスにデータは連携されている。完全に Apple のエコサイクルに組み込まれたが、快適なので仕方ない。

 この切り替えやすさには功罪があって、たとえば Kindle Paperwhite は「電子書籍専用である」というところが実は利点で「他の作業に気を散らさず読書に集中する」という使い方は有効だし、 MacBook は出先でネットに繋がずスタンドアロンのワープロマシンとして使っていたのだが、 この前 Apple 端末が集中モードを使って通知を制御できるようになったことでこの問題がある程度解決したのと、現実的には何時間も読書だけやることはない(是非はあるが、音楽をかけたりブラウジングしたりという作業がどうしても挟まるため、一台でいろいろな作業が完結するメリットの方が大きい)ので、今回の編成では特定の機能専用の端末は常用端末から外れる形になった。

 なので、状況によっては複数のデバイスを瞬間的に併用することもあるが、それは機能で端末を使い分けるわけではなく、並行度をあげるためのスケールアウトである、という運用になる。

 で、これを利用シーンごとにどう使うか。

1.自宅(デスク)

  • (主端末)デスクトップPC
  • (副端末)iPad mini( or iPad Air )

 一番かっちりとした環境。姿勢が固定されるのでリラックス度は低いかわりにユーザインターフェースを最適化している。デュアルディスプレイで、キーボードは Realforce 、マウスは MX Anywhere 3 を使う。 iPad mini は BoYata のスタンドでモニタの脇に置き、音声出力を HomePod mini に繋げて Youtube Music や動画を流すジュークボックスとして使う。これまでは iPhone で音楽をかけたりもしていたのだが、デバイスを分離することでちょっとしたストレス(たとえばショート動画をちらっと見たいがそれをかけると BGM がブツッと途切れる)ことがなくなった。デスクからちょっと移動するときは iPad mini をはずして持ち歩く。

2.自宅(ソファ上、入力作業)

  • (主端末)iPad Air

 ソファでくつろぎながらなにか入力作業をしたいシーン。リラックス5:集中5の、マクロスでいうガウォークの状態がこれ。入力しているデータを最終化するのではなく、曖昧に考えていることを有機的に吐き出したり整理したりする。ソファの上なので安定性確保のためにトレイボーに乗せる。テキスト入力がメインの場合は外付けキーボード( MX Keys mini )とあわせて使うし、手書きメインのときは Apple Pencil を使う。

 主なツールはテキストエディタ( Notion , 純正メモ)とマインドマップ( Xmind , GoodNotes )で、簡単なブラウジングなどは Slide Over でまかなえる。本格的にマルチタスクが必要になった場合は iPad mini や iPhone に作業を分散拡張する。

 iPad にキーボードをつけて入力作業するのは初代で少し試したことがあるのだがあまり馴染まずそれ以降トライしてこなかった。のだが、 iPad の性能向上と、今回外付けキーボードに MX Keys mini を使ってみたところ非常に良かった(薄くて携帯しやすいしそれなりに入力しやすい)ので、今回この利用シーンを正式に採用することができた。これで集中とリラックスの中間に位置する作業環境を作ることにする。

3.自宅(ソファ上、コンテンツ閲覧)

  • (主端末)iPad mini

 ソファでリラックスしながらコンテンツを消化している閲覧主体の状態。基本的に閲覧だが、合間に発生する簡単なメモなどの入力作業は Slide Over やクイックメモでまかなえる。10インチサイズのタブレットは手持ちし続けるのがつらいのでどうしてもスタンドが必要になるが、 iPad mini は手持ちでも問題ない。横にもなれる。とはいえ「完全に閲覧しかできない」という受け身 100% ではなく、その気になれば Apple Pencil を使って入力ができる、というところで心理的にストレスがない。当然ながら iPhone よりも画面が広くマルチタスク可能なので閲覧作業のクオリティが高い。

 主なツールは Kindleと 、Youtube などの各種動画・音楽ストリーミングサービス。これも並行度を上げたくなれば他の端末にも同じ作業を拡張できる。どの端末でも基本全ての作業ができるので、簡単に横に別画面を増やせるし持ち替えても問題がない。

4.移動中

  • (主端末)iPhone + AirPods Pro + Apple Watch
  • (副端末)iPad mini

 通勤や散歩中など室外での立位全般。 iPhone, AirPods Pro, Apple Watch は明示的にはここにだけ書いたが、これは常時携帯しているものなので、実質最小装備ということになる。 AirPods Pro は第2世代になってノイズキャンセリング性能・音質・音量調整機能などが向上したため外出中は手放せなくなった。

 効率は落ちるものの、 iPhone でも作業全般が汎用的に行えるのでこの状態でもできない作業はない。体勢が安定していれば外でも iPad mini を使う( iPhone のインターネット共有でオンライン)

5.カフェなど自宅以外の作業環境

  • (主端末)iPad Air+外付けキーボード

 気分転換に外で入力作業をしたいときは iPad Air を持ち出す。ただ外付けキーボードも必要なので、通常の外出よりも持ち物が少し増える。これまでは MacBook Air を持ち出していたが、重量・汎用性・コストを考慮して iPad に代替していく方針とした。今回 iPad mini を買い増ししたことで、このエリアは完全に重量級として整理したため、次回は大型の iPad Pro にしてもいいかもしれない。

 2023年の走り出しのデバイスはそんな感じで。 Apple Pencil のスクリブルがいい感じだったという話からずいぶん高くついたもんだ…

在宅勤務の環境(デスク周辺)

 早いものでコロナ禍により在宅勤務に移行して2年経った。少しずつ環境を整備していく中で、ささやかな幸福をもたらしてくれるものがいくつか出てきたのでまとめてみる。まずPC周り。

デスクマット(Pack&Smooch Moira, LightBrown)

 もっと早く買えばよかった…

 デスクマットには2つの効果がある。まず、マウスやキーボードなどの手元の機器をひとまとめにグループ化して動かせるというのがひとつ。たとえば食事をしたい、なにか書き物をしたい、と思ったときにキーボードやマウスをデスクの置くにズズッと押しやるわけだが、それぞれがバラバラに独立しているとこれが非常に面倒くさい。キーボードを奥にやって、マウスを奥にやって、リストレストを奥にやって… で、また用事が終わったらひとつずつ戻して、きれいに位置を調整して… みたいなことになる。わずらわしい。

 デスクマットにこれらの機器をまとめて載せておくことで、位置関係を変えずにひとまとめに前後に移動させることができる。配置場所がガタガタにならなず精神衛生上非常によい。

 次に、机の手触りが柔らかくなるという効果がある。机の表面もキーボードもマウスも基本的には無機的で固くフラットな平面なので、いつも手を置いたときに素手で工具を握っているような冷たさを感じていたのだが、ウール製のマットを置いたことで手触りが有機的になる。見た目にも卓上が引き締まる。あとは厚みのあるものを選べばタイピングしたときの衝撃を吸収してくれるので静音性・打鍵感の面でもよい。

 そこそこ厚みのあるウール製のマットならなんでもよかったのだが、ちょうど大きさがぴったりだったのでこの製品を買った。革のマウスパッド部分があり手触りもよい。ブラウンがアクセントになっていて見栄えも締まる。

マウス(MX Anywhere 3, MX1700GR)

 もっと早く買い換えればよかった…

 PC操作は原則としてキーボードで完結することを心がけており、Keysnail 亡き世界を Vimium に乗り換えることでブラウジングもキーボードで行っているためマウスの比重はそれほど高くなく、ずっと3,000円くらいのワイヤレスマウスを使っていたのだが、とはいえ完全にマウスを触らないというわけでもないし、すこし高級なものをひとつ買ってみようと思い Master3 買った。

 しかしファーストインプレッションの時点で以下の2つの問題を感じていた。

1. サイズが大きく手にフィットさせる位置調整に時間がかかる
2. やはりボタン押下すると横にポインタが微ズレする

 感じていたのだが、高い買い物だったことと、しばらく使っていれば手に馴染むだろうと考えてここから約2年使った… のだが、結局改善することはなく微妙なストレスがたまり続ける日々だった。

 これは個人的な相性の問題だと思うが、前述のとおり手をマウスに置きっぱなしにはせず、必要に応じて瞬間的にマウスを持つような使い方をするため、持ち替える際の位置調整のわずかな手間が問題になっていたように思う。

 一方で、勢いよく回すとラチェットモードからフリースピンにスムーズに切り替わるこのホイールについては手放せないほど手に馴染んだ。単純にブラウザの一番下や一番上に行きたいだけならそれこそキーボードショートカットで一発なのだが、ホイールを投げやりにええいと滑らせるとどこどこまでも滑り続ける挙動がささやかなフラストレーションの解消になっているのかもしれない。機能的な理由というよりは手遊びの延長のような気もするが、とにかく手放せないぐらい馴染んだ。

 という経緯を経て、まあ2年も使ったし、ここらでひとつ違うものを試してみてもバチはあたらんだろうと考え同様のフリースピン機能を持つ Anywhere3 に買い替えてみた。

 結果的に大正解だった。上記ツイートのとおり、自分が完全なツマミ持ち派であることを今回あらためて認識した。僕はマウスを動かすときに軽く横からつまんで上方向に持ち上げる力をかけていたのだ。だからマウスの重さ・大きさは譲れない要因だったようだ。

 フリースピンのホイールは Master3 の使い勝手のままで、充電も毎日フルに使って1週間以上持つので十分だ。やはり道具はサンクコストに縛られずに改善をすべきだということを再認識した一件だった。

マイクアーム(Blue Compass)

 もっと早く買い換えればよかった…

 Discord の通話用に昔買った安いマイクアーム(バネ丸出しの鉄の棒みたいなやつ)を長らく使っていたのだが、安定度が悪く不安だったのとあまりにも見栄えが悪いので買い替えた。

 さすがに値段がまったく違うので回転の滑らかさが別物で、小指一本で動かせるし触らなければしっかりと固定される。コードが柱内に収納されるのでごちゃつかなくてよい。動かし方をいちいち気にしたり、視界にケーブルがあってごちゃついていたりすると少しずつエネルギーが削られて疲れが蓄積するので、精神衛生上よかった。

 ただ、結果的に問題はなかったのだが、バネの力が強すぎるだか弱すぎるだかでマイクの重さによってはうまく固定できないという話が散見されたのでそこは購入時のリスクだった。個体差だか不具合だからしい。僕の買ったものは問題なくセットアップできた。

 ちなみにマイクは これ 。自分の声を売り物にする商売でもないので品質にはまったく問題もなくトラブルもない。本来は湿度やら保管やらを気にしないといけないと思うのだが、面倒なのでマイクアームに吊りっぱなしでその下で飯を食ったりしているという過酷な使い方をしているが今のところ不具合はない(そろそろ3年ぐらいは使っただろうか)

 ちなみに僕は声が低いため意識しないと広い会議室やら人がたくさんしゃべっている会議室では声が通らないのだが、リモート環境においてはこの問題をすべてマイクが解決してくれるので投資効果が非常に高いアイテムと言える。口元でダラダラっとしゃべっているだけでしっかりと会議のイニシアチブを取れる音圧を出せるので、このアドバンテージ維持のためにも在宅勤務が続いてほしいところ…

モニタアーム(HP シングルモニターアーム)

 買っておいてよかった…

 今見ると販売終了しているように見えるが、AmazonのOEMでもいいだろう。途中でサブモニタ用にも買い足して2本になった。1本のアームで2つのモニタを吊れるタイプの商品もあるが、僕は机の正面を開けたいので左右に1本ずつアームを立てた。これのおかげでキーボードの奥が開けられる。ということはキーボードを奥に押しやって手元で飯が食える。視界もすっきりして脳への負担も軽くなる。

 モニタアームの規格(VESAマウント)は標準化がしっかりしているので、途中でウルトラワイドモニタに変えたりしたが問題なく使いまわせている。汎用性が高い商品なので腐りにくくてよい。

 デスクの構造上、クランプで挟んで固定するための厚みがやや浅かったので、錐を買ってきて机に穴を開けて固定した。一点不満を言うとすれば、アーム内にケーブルを収納できるのだが、複数ケーブルを収納しようとするとやや厳しい。たとえば電源ケーブルとHDMIケーブルなら入るが、ゲーム機やら仕事用PCのケーブルやらをそこに足そうとすると入らない。まあ複数の画面を切り替えるという用途がやや特殊ではあるので仕方ない。

椅子(Herman Miller アーロンチェア)

 買っておいてよかった…

 およそ10年前、まだ在宅勤務なんてものが映画や小説の中の話だったころに、座っている時間の長い生活だし椅子に投資をした方がよかろうと考えて買った。2年前に在宅勤務になって当初の想定をはるかに上回るヘビーな使い方をすることになったわけだが、この劇的な生活の変化を受けても腰回りの故障が一切ない。もともと腰に不調がでがちなタイプだったのでこれは本当に買っておいてよかった。

 上記のツイートのとおり、もし妥協をしていたら(事実がどうであれ)もっといい椅子があるのではないか? という疑問が頭をよぎっていたのではないかと思うとハイエンド製品を買っておいてよかったと思う。なんだかんだで10年以上使ったわけだし、いまだにガタも来てないので十分減価償却できているだろう。

 あと改善があるとすれば机の高さをもう少し調整できるとベストなので、そのうち電動の昇降机が欲しいという気持ちがある。

 今後も間違いなく座りっぱなしの仕事なので継続的に向上していきたい。