フルリモートから出社と在宅のハイブリッド勤務に移行して外出の機会が増えた。それに伴い iPad mini などを買い増したりして荷物に変化が起こった。だいぶリュックがくたびれていたこともあり、この機会に新調することにしたのだが比較項目が多いし、いくら店頭で触ってみたとしても究極的には使ってみないとわからない買い物なので長考した。
で、結論から言うと Aer の City Pack を買うことにしたのだが、検討に紆余曲折あったので備忘のため記しておく。
現状把握
ざっと分類すると公私ともに3段階ぐらいの重みで持ち運ぶ荷物の区別がある。
- プライベート
- (軽量)散歩、コンビニ
- (中量)買い物など日帰りの外出、カフェや図書館などサードプレイスで作業など
- (重量)一泊以上の旅行
- ビジネス
- (軽量)出社(軽作業)
- (中量)出社(汎用装備)、ビジネス的な対面
- (重量)出張
これに対して手持ちのバッグが以下。
- Aer / Day Sling 3
- Aer / Tech Sling 2
- カリマー / VT デイパック
- (引退予定)TUMI / レザーブリーフ
年末に買った Aer / Day Sling 3 の使い勝手が異常によく、公私ともに軽量級の外出であればこれひとつですべてまかなえるし、iPad mini は入るので目的がはっきりしていて荷物選定ができるのであれば中量級の外出であってもこれで解決できる。このカバンは大層使い勝手がよく、しばらく愛用するだろう。個人的に長年患っていた「ボディバッグって体の前に掛けていいのか?」という問題を解決してくれた。これなら前に掛けても違和感がない。
問題
ただ、この中量級の外出について以下のケースが増えてきた。
- 汎用性が求められ荷物が絞れない(突発的な事態に対応できる荷物を持っておきたい、ケーブル類を念の為に携行したいなど)
- 荷物が決定できたとしても Day Sling3 では容量不足(外付けキーボードとiPad Airをもっていきたい、など)
- フォーマル度の高いビジネスシーンで Day Sling ではちょっと頼りなく感じる
容量的な問題であればカリマーのVTデイパックに持ち帰る、ビジネスシーンであれば TUMI に持ち替える、といった対応が可能ではあったのだが、それぞれ以下の問題が目立ってきた。
- カリマーの VT デイパックは登山用バッグなので、カバンの中に仕切りがなく(タブレットや MacBook を収納するケースが別途必要になる)やや使いづらい。また、ビジネスシーンにややそぐわない(通常ほとんどそれが問題になることはないのだが、社外打ち合わせの際にややアホっぽくなる)
- TUMI のブリーフケースはかなり気に入っており使い勝手がよかったのだが、10年ものでだいぶ型崩れ・レザーの劣化がひどく引退予定。なのでビジネスシーンに対応可能なカバンがない。
新しいカバンへの要求
これを解決するというのが今回の選定の第一義となる。つまり、
- (要件1:容量)Day Sling 3 よりも容量があるリュック
- (要件2:ビジネス対応)ある程度フォーマルなビジネスシーンに対応可
となる。あまりカバンの数が増えると面倒なので、できれば公私ともに対応可能なデザインのもの1つで解決したい。
昨年末、これをクリアするために Tech Sling 2 を買い足したのだが、やはりショルダーバッグというのがどうもバランスが悪く、入るには入るのだが Macbook Pro を入れると片側に荷重がかかりすぎるのと、フォーマルな場に持ち込みづらいフォルムだったため解決策とならなかった。なので、あらためてなるべくバランスのよいリュックがひとつほしい。
くわえて、重量級の外出については機会が少ないので主軸で考慮はしないものの、突発的に必要になるケースにも対応できると嬉しいので、オプショナルな要件として考慮する。
以上が主軸の選定要件であるが、以下の副次的な要求も考慮に入れたい。
- ガジェットのオーガナイザーを備えている(ノートパソコンスリーブ、小物入れなど)
- 大きすぎずスリムで日常使いで取り回しやすい
- 荷物の量を問わず型崩れしにくい
- 汎用性が高い標準的なリュックである(特殊な使い勝手・特殊な形状の製品ではなく、最大公約数的なリュック)
要求が多い!
第一検討:Flight Pack 3
以上の要件を踏まえ、最初に候補に上がったのが Flight Pack 3 だった。公式でカートに入れて住所入力まで行ったので、当初はかなり決定する気まんまんだった。ただ最終的には思いとどまった。ポイントをまとめるとこうなる。
- Good
- バリスティックナイロンの素材感とデザインがよい。Day Sling とも調和している
- リュックとしてだけでなく簡易的なブリーフケースに変形して使用できる
- 旅行など荷物が膨らんでも十分対応できそうなサイズ(20リットル)
- 気になる
- 普段使いには大きすぎるのではないか
- 変形機構が冗長に複雑ではないか(くわえて、変形させてもベルトが完全に隠れない)
- 中身がすくないときに型崩れしないか
- Flight Pack 2 のときよりブリーフケースハンドルの持ち手の留め具が簡易化されている(残念)
宿泊まで想定できる大きさ、ブリーフケースへの変形機構など、今回の要求する汎用性に広く合致しているように思えた。デザインもシンプルで直線的でビジネスシーンでも対応できそうだし、 Flight Pack の名前から連想するようにこれひとつもって飛行機に乗り込めそうな心強さがある。リュックとしての形状だけでなく、横にブリーフケース時に使う持ち手がついているのも、その汎用性の高さを象徴しておりいろいろな顔が見えて飽きなさそうだ。
これでいいや…と思ったのだが、あらためて利用シーンの頻度を考えてみると、わざわざ手間をかけてブリーフケース状態に変形させて使うシーンが果たしてどれぐらいあるだろうか…ということが気になった。ほとんどの場合リュックでまかなえる気がするし、そうするとリュック状態で使う通常時はこの変形機構に伴うほとんどのパーツ(ベルト着脱の金具、横の持ち手、ベルト収納ポケット)は単に余分な機構ということになってしまう。大きさもやや大きすぎる(特に厚み)ように思えたし、中身が少ないときはぎゅっと厚みを潰せるようにも思えたが、一番出番の多い中量級の外出時にはずっと型崩れした状態で使うことになる。
経験上、道具に汎用性を求めすぎるとどの利用用途でも中途半端になりがちなので、ここで方針を考え直すことにした。つまり、頻度の少ない旅行・出張についてはオプショナルな要求からも一旦外し、中量級のカバンに振り切って考えることにした。重量級の外出について、今回購入するカバンで対応できなければそれはそのときに専用のものを書い足そう。たまにしかない旅行のために、日頃からオーバースペックなカバンを担いで回ることはない。
それで Flight Pack をドロップし、次の検討に進んだ。
第二検討:Aer City Pack
結論は City Pack となるわけだが、中量級(〜15リットル)のリュック候補としては以下があがった。
Flight Pack を前述の通りドロップした際に、まず候補にあがってきたのが City Pack だった。ちょうど自分がはずした要件(ブリーフケースへの変形不要、旅行へ対応できる収納力)を Flight Pack からオミットした製品で、気に入っていたデザインや素材感はそのままなので問題ないはずだ。
続いて Aer Day Pack 2 が候補に上がった。Day Pack 2 はなにより「自立する」という唯一性があり、リュック選定する上でこれは強力なアドバンテージに思えた。それと引き換えに、ややフォルムが丸くなっている。ここは好みだがなんとなくランドセル感を感じてしまいデザイン的には City Pack の方が好ましく感じた。防水のシェルも悪くないのだが、バリスティックナイロンは Day Sling 3 で実績と信頼がある。ただ、City Pack も(公称してはいないので保証はされないものの)一応自立するらしいという情報があり、店頭で確認したところたしかに自立していた。荷物の入れ方にもよるだろうが、すこし立てかける壁でもあれば十分だろう。Day Pack は人気だが、その分人とかぶることもおおそうだ。ということで、今回は City Pack を選んだ。
14リットルサイズの検討としては以上なのだが、そもそも要件から汎用性を削ったわけで、それならばもっと軽くてスリムなものがよいのではと考え10リットル以下の製品も調べた。
まず同じ Aer 製品の Slim Pack。これは機能的には悪くなさそうだったものの、亀仙人っぽいフォルムが気になるのと、いくらなんでもベルトに対してリュックが薄すぎてアンバランスではないかと思いドロップした。ただ、気になるサイズ感ではあるのでユニクロの3wayリュックあたりでためしてみたい。
最後に別会社の製品で Incase の Dot Backpack が気になった。
非常にスリムでシンプルな形であること、なおかつ Aer 製品よりも重さが大幅に軽くなること、Aer 製品と同じようなジッパーの持ち手がついていること、インナーの起毛が Aer 製品よりも気持ちよさそうなこと、などが目をひいた。柔らかそうな材質もあって気軽に持ち出しやすいように感じたが、代償として中身を詰めないと型崩れして潰れそうに思えた。悩んだが、Aer 製品に興味があることと、現状の中量級の外出には(宿泊に対応できるほどのボリュームではないにしても)ある程度の汎用性がもとめられることからドロップした。また、僕は肩幅があるのでここまでスリムになるとちょっとバランスが悪いのではないか、という判断もあった。City Pack がもし大きすぎる・重すぎると感じた場合にはさらに軽量級として買い足してもいいかもしれない。
というわけで City Pack が勝ち残った。まとめると以下の評価での購入となった。
- Good
- バリスティックナイロンの素材感とデザインの良さ
- オーガナイザーが便利そう
- それなりに自立するらしい
- 幅広いビジネスシーンにもっていけるビジュアル(社外との対面やイベントなど)
- そこそこの汎用性あり(Day Sling 以上 〜 一泊旅行以下)
- その割にサイズ感が大きすぎない(特に厚み)
- ベルトは収納できないが、瞬間的に横持ち可能なすっきりしたハンドルあり
- 気になる
- 一泊旅行に対応できるか
- やや大きすぎるのでは
- 自立の度合い
標準的なリュックで、かつ今回要求する範囲での汎用性がある。これでよいだろう。
2週間使ってみた感想
おおむね想定通りで満足のいく結果となった。使ってみた感想は以下。
- 物が入らないという評判を見かけたが、僕の使い方では十分に入る。むしろ中に物をあまり入れなくても型崩れしないメリットの方が大きい
- サイズ感・デザイン・素材感などはすべて期待通りで満足
- 重さの割に背負ってしまうと軽く感じる。間仕切りのおかげで荷物が中でぐらつかず固定されること、一番重いノートパソコンが一番体に近いところで固定されること、背中に沿った形状のパネルであること、あたりが原因だろうか
- リュックの紐がダラダラしないように止めておくコードベルトがついていて、これが大層具合がよい。まったくダラダラしない
- 自立はしない。一部の紹介動画で自立するようなニュアンスの説明もあったが、まったくしないと考えた方がよい。ただ、机の上に平置きしたときに、前述したコードベルトのおかげで紐がちらからず、四角いシルエットに収まってくれるので自分は結局気にならなかった。自立させたいなら素直に Day Pack 2 を買おう。